沖縄のやさしい空 5月17日 碧の海と風


きのう、夕日を見に行こうか、と豊さんに誘われて、
浜辺の茶屋まで。

「まゆみさん、曇ってるから、あいにく夕日は見えないかもね、ごめんね」
7時頃について、窓辺の席が空くまで待つことに。
浜辺に下りると、こどもたちが、もう、ぐちゃぐちゃになって、
水の中で遊んでる。

服を着たまま泳いでるから、きっと沖縄の子供だろうなあ、
ああ、いいなあ、
私もあんなにぐちゃぐちゃになりたいなあ、
誰か私を突き落としてくれないかなあ、
そうすればわたしも服を着たまま水の中で遊べるのになあ、
なんて思いながら。
いても立ってもいられなくなって、
浜辺をぶらぶら。

飛び込む変わりに、手を、濡れた砂の中に、海の中に。
愛しむように砂を撫でる。
少し力を入れながら、撫でる、撫でる。
なんて気持ちいいんだろう。
あまりの気持ちよさに誘われて、
豊さんも、濡れた砂を照れながら撫でる、撫でる。

「まゆみさん、放電してるの?充電してるの?」
「放電してるの」
「今日は色々あって疲れたから、気持ちがいいね、
ああ、元気になってきた、いいこと発見したね」


名前を呼ばれて、窓辺の席に座り、
海と対面。
風が吹いてきて、
思わず、顔を見合わせて、こころから、にっこり。

カモミールティーを飲みながら、陽が暮れる海を眺める。

「やっぱりこのくらいの時間がいいね」
「人も少ないし、空気も穏やかだし」
「まゆみさん、今年こそは島に行こうね」
「那覇に住んでてはいけないね」
「本当に、いつもここに来ると那覇に住んでちゃいけないって思うね」
「この際、本気で田舎に引越そうか、なんとかなるよ」

陽がすっかり落ちたというのに、、
いつもそうなんだけど、海の色がまた緑色に変わってくる。
そして、深い、深い、青になっていく。
深淵の碧。

浜辺がライトアップされる。

海って飽きるけど、沖縄の海はやっぱり違うなあ、
沖縄の、この風景を捨てれるなんて、できるかなあ、
と思いながら、風を浴びながら、恵みを感じながら、
やさしい時間が、すこしづつ、すこしづつ。


「豊さん、冬に来た時、
わたし、詩を書いてたでしょう。
あの時ね、この青の海を見てたらね、
惑星ソラリスを思い出してね、
実は、惑星ソラリスの詩を創ったんだよ。
岩が所々に顔を出してるでしょう。
あれが、惑星ソラリスの最後に出てくる島にみえてね、
海なのに、惑星なの、完璧にね」
「惑星ソラリスかあ」

海って、空でもある、宇宙の海でもある。
あの日、つくづくそう感じた。

「俺って一体、なにをやりたいんだろう」

せっかく服を着替えたこどもたちが、また、浜辺に降りて足で波と遊んでいる。
お母さんに何か言われてるけど、気にしない。
こどもは。


帰りがけに奥武(おう)島によってから帰ろうと。
ちっちゃな島のドライブははあっという間に終わり、
漁師さんらしい人たちが、あちこちで、お酒を飲みながら、ゆんたく。
こんなちっちゃな所は住めないね、そうだね、すぐ噂が広まりそう、と話しながら。

引っ越しを頭にいれて、ここはなんていう地名なの?と、
地名を覚えながら、きょろきょろ、家路に。

晩ご飯は、パスタをやめて、豆腐屋食堂で、ゆし豆腐定食と、おから焼き飯、豆腐餃子。
私は、10年以上肉を全く食べてないし、食べれないのですが、ここの豆腐餃子は食べれます。
全く分らない程度にミンチが入ってるようなのですが、肉の臭いもせず、
美味しいですよ。
あと、お勧めは、ゆし豆腐梅茶漬け定食。
あとまだ食べてないけど、豆腐ハンバーグも美味しそうにみえる。
もう一軒、別の場所に豆腐専門店が出来たようなので、また偵察に行ってきましょうね。

この一週間くらい、沖縄は暑い、熱い。
今日も、少し、スコールが。

☆興味がある人へ、
惑星ソラリスは、タルコフスキーの映画です。
サクリファイスとかもありますよ。

追伸、
何故、沖縄に住んでいるのに、一度も島に行ってないか?って。
飛行機が怖い!舟に酔う。
ああ、どこにも行けない。
ああ、どこにも出れない。
そこまで考えないで、沖縄にやってきました間抜けな、ふるいちまゆみです。




BACK